今日は第三部を紹介します。
第三部は『海底の王国』と題した創作バレエです。
しかし、かなり『せむしの仔馬』の海底の場面をモチーフとしています。初め、ワガノワバレエ学校がよく上演する『海底の王国』という場面をやりたいと思ったのですが、音源が存在しないので創作バレエにしました。
『せむしの仔馬』について調べてみると、サンレオン版(1864年初演マリインスキー劇場)、音楽プーニ。プティパ版(1895年初演マリインスキー劇場)、音楽プーニ。ゴールスキー版(1901年初演ボリショイ劇場)、音楽プーニ、グラズノフ、チャイコフスキー、ラドンスキー版(1960年初演)、音楽シチェドリンと、すべての版で音楽も演出も様々です。
『せむしの仔馬』と言って最も有名なのは、真珠のパドトロワですが、これは1895年のプティパの手によるもので、初演の時にはありませんでした。海底の場面はどの版にもあるのですが、登場人物、登場生物(?)も様々でサンレオン版はクジラ、ルサルカ(水の精)、スズキなど。プティパ版はネーレーイス(ギリシアローマ神話の海の精霊)の王妃、スズキ、フナ、魚、ザリガニなど。ゴールスキー版はイルカ、スズキ(スズキ、好きなんですね)チョウザメ、水の王女と水の精、ヒトデ、クラゲ、サンゴ、海藻、魚、ザリガニ、金と銀の魚とタツノオトシゴ、などなどだそうです。詳しく知りたい方は、平野恵美子『帝室劇場とバレエ・リュス』pp157-159をみてみてください。私たちがDVD で観ることのできるワガノワの『海底の王国』はゴールスキー版をもととしているそうです。
というわけで、『せむしの仔馬』全幕、観てみたいですね。シチェドリン作曲のものはDVDがあるようですが、割と現代的な感じがします。
ちだ版はこんな感じです。音楽はプーニとドリゴの『せむしの仔馬』『ファラオの娘』『エスメラルダ』より。
おはなし📚あるあたたかい海でのこと。うつくしくかしこい水の女王は、長い間かけて集めた宝石たちを妹のように可愛がって一緒に暮らしていました。海の底にはかわいらしいいきものたちがいろいろと住んでいました。いるかにわかめ、くらげにほたて。きょうだい同士まいにちなかよくあそんでいました。みんなこまったことがあればやさしい海亀様にお智恵をかりました。いたずらをしても波娘たちはすべて水に流してくれました。みんなで海の底にただよっていればしあわせでした。そんな、海の底の国のおはなしです。
オープニング 水の女王と宝石たち
いるかの王子 わかめの姫
くらげ姉妹 ベビー帆立
帆立兄妹 小さいものたちのマーチス
海亀様 波娘
水の女王と宝石たち(紫水晶、瑪瑙、黒蝶貝、紅玉)
珊瑚 真珠
宝石たちのフレスコ フィナーレ
このような『海底の王国』でした。
みんな自分の役を楽しんで踊ってくれたようです♡