今日は最近買った本、ジャニス・バリンジャー/サラ・シュレジンガー著、佐野奈緒子訳(2015)『ポアントのすべてートウシューズ、トレーニング、テクニック』大修館書店について。
400頁にわたって、トウシューズの歴史、シューズの製造工程、フィッティング法、シューズのブランド紹介、指導法、トレーニング法について書かれています。著者たちは、1988年からこの本をつくるプロジェクトに取り組み、この本は2012年にアメリカで出版されています。沢山の指導者やダンサーにインタビューして、トウシューズ工場を訪ねまわり、医療関係者から情報を集めたものだそうです。日本語で読めるものとしては、最強のトウシューズ本が出たなと思いました。
これからトウシューズを履くという方にはおすすめできません。ものすごい選択肢があって、混乱すると思います。知らぬが仏という言葉があるではありませんか。でも長年トウシューズを履いている人にはおすすめです。すごく面白いと思う。例えば、トウシューズの製造過程なんてしるよしもありませんよね。トウシューズが高価な理由がよくわかります。大事にはかなければ。ソ連時代は、ポワント工場がバレエ学校の中にあって、生徒たちはそれを見学していたということも書かれていました。アメリカを中心とした海外のバレエの教育機関でポワントクラスがどのように扱われているかということも詳細で興味深いです。
また、トウシューズを長持ちさせる方法についてもページがさかれています。トウシューズは消耗品ですからね。トウシューズにとって重要なことは乾燥です。アメリカのダンサーたちはポワントをオーブンで焼くんだそうです!
なにごともそうですが、一見相対するようにみえるがどちらも正しいんじゃないか、と思われるいくつかの見解がここにもあります。トウシューズに関しては、実際に会って話し合える自分の指導者に従うのが確かだと思いますが。例えば、トウシューズのひもの結び方。この本にも二通り紹介されていますが、わたしの教室では片足ずつリボンを結んで内側にひもを入れ込む方法を指導しています。片足を結んだ時点でひもがほどけにくくなっているし、リボンもでてきにくくなる方法です。もう一つは二本のひもを同時に結んで外側にリボンをしまう方法です。こちらは足首が美しくみえるんだとか。勿論くるぶしとアキレス腱のところでひもを結んではいけないというのは異論がありません。それから、バレエを長年やっているかたには経験があるかもしれないですが、タンデュのときドゥミポワントを通りなさいという先生とドゥミポワントを通ってはいけないという先生に出会ったことはありませんか。ポワントでもそのような見解の違いがあるようなのです。ドゥミポワントをはっきり通ってはいけないというのはアキレス腱を使いすぎるという理由です。ただポワントに関して、今日では、両方のやり方を指導することが一般的なようです。
というわけで『ポアントのすべて』良い本です。余計なお世話だけど沢山うれたらいいなと思いました。
ところで、全然関係ないですが本の手前はハッロングロットルとドロンマルが入っていた箱です。
ハッロングロットルとドロンマルはとってもおいしい北欧のクッキーです。
わたしはなんと言ってもかわいい箱がだいすきなのです。